ゆっくり終活する日々

老後お一人様の過不足なく小さく暮らす生き方を探る話などを、思いつくままに書き綴ります。

60代半ばでやってきたお一人様暮らし。
幸い、先に引きずる病気はないけれど、腰痛や、加齢によるケガ・事故の心配をしなきゃならないお年頃。
節税対策の法人で貸付不動産を運用しつつ、お一人様で終活しながらシンプルに暮らす日々の喜怒哀楽日記です。

炊事が好きだと知った来し方

時間から時間まで外に出て働いていたとき、炊事はつらかった。
面白がってやれる仕事だったから、帰宅しても家事にうまくスイッチできず、頭の中は仕事のことがめぐっているのに、手や体は炊事や掃除をしていて、結局どっちもうまくまとまらない、そんな毎日だった。


だから炊事は嫌いなんだと思っていた。
そんなストレスも原因の一つで、最初の結婚を投げ出した。


一人暮らしを6年ほどした後、思いがけない紆余曲折の末に、30年来の知人と最強タッグを組んで事業を起こし、共に暮らすことになった。


起こした事業は、不動産貸付業、いわゆる大家さん。


相手は不動産に関する知識・情報・扱いのプロ中のプロ。
私は幸いそこそこの資金を持っていて、今住んでいる場所を仲介してもらって買い取った、ただのヒト。
運用の知識なんかかけらもなく、価格が折り合った(破格値だった)から買っちゃったというノリ。


簡単に言えば、持てるものを有効利用できないやつを見るに見かねて面倒を見てくれることになった、という構図でタッグを組むことになった。


そうしようと二人で決めたとき、ビジネスライクな話のほかに、私はあなたの暮らしと命を預かるからと伝え、相手はあなたの資産と人生を預かるから、と約束した。


最初の建物を建てて自分たちも移り住んだ後は、仕事と言っても毎日在宅、しかも自分が決めるルールやルーチン以外どんな拘束もないという、恵まれた毎日がやってきた。


事業を起こしたからには、投資に見合う採算をとらなければならないので、市内の中古分譲マンションを買い取ってリフォームしたり、2棟目3棟目の計画も進めていたけど、私は返事する役と資金の出し入れくらいで、ほとんどを相手が取り仕切って進めていた。


となると私の主な仕事は毎日の炊事、しかも在宅な仕事だから1日3食の炊事。


どうなることかとわが身を危ぶんだけど、これが、楽しい。


ご飯作るの、私、好きだわ♪、と気が付いた。
そう、作る、それが好き。


大したものを作れるわけじゃない、ほとんどがワンステップ調理、煮る、焼く、揚げる、炒めるの、年代相応のお惣菜と相手の好きな魚を使った料理。


鮭を丸で買って、さばいて用途別に保存するとか、季節ごとに近場の浜へ出かけて旬の磯魚を箱買いして、干したり冷凍したりとか、大豆と麹で味噌を仕込むとか。
地鶏を丸で買ってさばくと、鶏肉を買うよりもかなり多彩な調理ができる。


スーパーで材料を買う調理じゃなく、素材から食べ物を作りだす調理の面白さ。
1日3食の調理が全然苦にならないのに驚いた。


もちろん、気が乗らないときは外で食べようというと気軽に応じてくれたから、それも毎日を義務化させないでいられて、楽しんで続けられたと思う。


そういう暮らしを10年続け、昨年、私では守り切れなかった命は旅立ち、一人暮らしになった。


自分の為だけに作る調理は味気ない。
それでも、一度知ってしまった作る楽しみは、時々発作のように湧き上がってきて、そこらにある材料を全部使いきるまで惣菜を作ったりすることもある。


今更食べさせる相手を探そうとは思わないけど、暮らしには家族であれパートナーであれ、相方があったほうが充実度が高いものなんだなと思った。



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